彼女の日記〜恋愛Song〜/永乃ゆち
 
って
思いのままにあの人と逃避行劇繰り返す。
ただしそれは少女の特権。
わたくし大人になったので夢の世界からもご用無し。
お払い箱です笑っちゃう。
いつまでも逃げてはゆけずかと言って
どこにも進めず立ち往生。
夢と現の間ではぬるま湯に浸った後の倦怠感。
脱力気味に顔を上げれば
蜃気楼でしょうかあの人が居たような。

あの人はまだわたくしの本当の気持ちは知らなくて
勇気がないだの怖いだの
臆病過ぎて近づけない。
けれども今日は違います。
わたくしついにあの人に告白しようと決めました。
しわを寄せては笑う声。
どんな鈴の音色より凛とし澄んで、わたくしの体の中に広がりま
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