シカエルボク/ホロウ・シカエルボク
 
たちが鹿で
性能が蛙で
思考が
ぼくだった
大変だ、と
ぼくは思った
だけど
動けなかった


シカエルボク(仮名)は
ぼくの毒を吸い出したあと
深く腰を沈めて
ぴょーん、と
跳ねあがり
窓から外へ飛び出して行った
窓がこのまんまだと風邪を引いちまうな、と
ぼくは思った
だけど
動けなかった


シカエルボクは
それから四日間かけて
自分の前身であった
鹿を
跳ねた車を探し出し
エンジンを潰し
運転手を引きずり出して
肛門に爆竹を詰めて
処分した


それから
帰ってきて部屋
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