没落/黒川排除 (oldsoup)
 
ものなど何もない。存在しないものを名付けてはいけない。歴史的所産物に認められるわけにはいかない。孵化した物に濡れた手で触ってはいけない。それらはあらかじめ決められていた事で諦めなければならない。触覚に苦痛をそよがせたまま私は眠ろうとした。だがそれさえも容易ではなかった。目を開けているのか閉じているのか分からないほど私の目は闇に眩んでいた。自分はもう眠っているのではないかという慰めが混乱した脳裏をよぎった。その期待に明白な悪意を感じた私はとっさに鼠をひきちぎり、指で砂を縦横無尽にひっかき回した。はたしてそこに目玉は在った。少なくとも二個以上は確かにある。早くなる動悸で私の身体は黒ずんでいくように感じ
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