小説/葉leaf
妻が死ぬと金糸雀もまた死ぬだろうなんて――。小鳥を世話していた妻が死んだのです。はっきり申しましょう。貧乏画家でずぼらな私にかよわい小鳥は飼えません。飼う者がいなくなったのです。その金糸雀が死にそうです。
私達お互いの中のお互いの思い出も、死なねばならない時が来れば死なせましょうよ――と。金糸雀はいつか死ぬでしょう。でも、私達の思い出も生きているのです。生き物を記念品に差し上げるなんて可笑しいかもしれません。とにかく、この鳥で私を思い出して下さいまし。金糸雀の知ったことじゃありませんわ。でも、どこかの小鳥屋が一羽の雄と一羽の雌とを勝手につかまえて来て一つの籠に入れたんですよ。この金糸雀は夫婦な
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