小説/葉leaf
 
迷惑でしょう。妻が飼っていた鳥ですから。またお返しするのも厭です。奥さんにいただいた鳥ですから。かと言って、鳥屋に売るのも厭です。
 どこかの小鳥屋が一羽の雄と一羽の雌とを勝手につかまえて来て一つの籠に入れたんだと、奥さんは仰いましたが――。若し二羽が別れて飛べば、一羽ずつで死ぬだけでしょう。この都会にも近くの森にも、この夫婦が群れ飛ぶべき友鳥はいないのです。それにこの金糸雀は空を知らないのです。しかし妻が死んでからこの小鳥も急に翼が弱ったように見えます。私は金糸雀を空に放してやろうかと考えました。
 奥さんの思い出を私に持たせていてくれたのは私の妻だったのでしょうか。してみると、奥さん。妻が
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