ストーブと広がる世界/雅寛
殻の割れ目から、流れる今を見ていた……。
或る冬の日、ストーブの前、膝を抱えて寝ていた。
あの頃一番好きだった場所……。
帰れない想いなんて知らずに、其処に、居た。
あの頃夢見た自由なんて本当は欲しくは無かったんでしょ?
きっと、僕は生きる為の強さなんて持っては無かったんだ。
僕も、誰も気が付かなかった……。
気が付いてくれなかった……。
計算的に並んだ白と黒の文字の羅列、精神病院みたい。
狂った恋の話が好きだった。
あの坂道、自転車で風感じて、
行ったり来たりの繰り返し。
それでも、幸せで、
それでも、不幸せで……。
暗がりの中、偽物の笑顔が浮かぶディスプ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)