しめ殺し屋/ただのみきや
絞殺し屋の眷属たちが住んではいるが
地球温暖化の影響で
このアマゾンのイチジクも北上し
すでにこの国にも暮らしている
はじめは皆が喜んだ
「人の世にも巨木ならぬ巨人となり
日の光を独占し場所をとりすぎる輩がいる
そんなやつらをぎりぎりと締め上げてくれるなら大歓迎だ」
だが実際は違っていた
そもそも人間の道理が
アマゾンの絞殺し屋に通用するわけがない
イチジクは自分の絞殺したいものを絞殺す
昨今の蒸発 失踪のほとんどは
やつらの仕業なのだ
環境に適応したやつらは
ある時は弱々しく男が助けずにはいられない女の姿で
ある時は甘いことばでささやく優男の姿で
愛して
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