しめ殺し屋/ただのみきや
している 愛していると
その腕を絡みつけ
そのからだを寄り添わせ
その男や女の生活を少しずつ
覆ってゆく
はじめ程よい束縛が心地よく
激しい抱擁に情欲は燃え上がるが
イチジクはある時を境に
豹変し始める
固く
太く
抗えない力で
おのれがすがり支えられた
相手を 死の抱擁で
ぎりぎりと締めつけ
締めつけ 締めつけ
殺してしまう
人格的にも
社会的にも
やがて
その人のかたちにぽっかりと空いた
不在の穴だけが残るが
すぐにまわりの人々も
それに慣れてしまうのだ
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