詩と宿命/yamadahifumi
 
持っていないからだ。・・・これは現代の詩人が生んだ問題ではない。だが手をこまねいていては何もやってこない。我々というのは生まれた時から「人生」をーーー従って「宿命」を剥奪されているのである。生まれた時から人々は一つの「価値観」というレールに載っている。そして世の中は「こんなものだ」と皆が思う。すると世の中は本当に「こんなもの」になる。・・・我々の詩が凡庸なもの、見せかけだけの奇異さや知的な装飾に頼る所以がここにはある。
 だから我が詩人に向かって、私達はこう宣言し、号令をかけなければならない。
 「詩人よ!一人の人間であれ!実人生を持て!」と。
 実際の所、一人の人間でなれば一つの詩も生まれ
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