いまはどんな椅子に腰をかけてるの?/ホロウ・シカエルボク
よね
どうでもいいような音楽が
もちろん、それは
需要と供給のバランスが
取れていないという意味で
あの年は秋が何ヶ月もあった
みんないつか冬が来ることを忘れていた
男友達から安く譲ってもらった
イームズの座りづらい椅子にしっかりと丸まって
レンジで作ったグラタンを
熱がりながら頬張っていたっけね
季節外れのスコールのあとに
突然の冬が訪れたとき
二人でその椅子を不燃物に出したっけな
正直に言ってぼくときみの間柄は
それほど真剣なものではなかったし
こんな風に思い出してみせるほど
ドラマティックな出来事があったわけでもない
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