いまはどんな椅子に腰をかけてるの?/ホロウ・シカエルボク
 
ない
素っ気ないセックスと
タバコの煙があっただけ
レトルトの空箱のシェルターのなかで
芸能人の悪口を言いあってばかりいた
「嘘ばっかりのやつら」ってきみはよく言ったけれど
正直に言ってきみの正直さよりは
かれらの嘘八百の方がましだと思うことだってちょくちょくあったよ
昔の歌が好きで流行歌は屑ばかり
きみは出来の悪い公立校の教師みたいなステレオタイプだった


思い出話をする指が
ひび割れるくらい寒い夜
きみがふぅーってやってた煙のゆくえを
ぼくは時々探すことがあるんだ
それはなにかを目指そうとして
いつも途中でかすれていなくなってし
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