凪の日/まーつん
び寄る サメの影ひとつない
諍い 抑圧 欠乏 懊悩
このいまいましい平常心を 頭から貪り食ってしまうような
煮えたぎる暗い想いの 影ひとつ泳いでいない
僕は 憎しみを押しのけ 微笑みを拾い上げ それを使うことを覚えた
人々はもはや 遠巻きに こちらを眺めるのをやめ
僕は彼らの 一部となった
冗談を 交わし合い
痛みを 分かち合い
もはや孤独とは 縁を切った
はずだったのに
我ながら 信じられないのだが
かつて日々を暗く覆い あれほど呪いもした
みじめな不幸の影 それを僕は今 恋しがっているらしい
やっと手に入れたはずの 平穏な日常
それが なぜこんなにも
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