岩尾忍詩集『箱』小論/葉leaf
は常に物理的存在が入り込んでくるし、物理的存在もまた意識によって照明を与えられなければその存在が支えられない。だが、身体は、意識と物体を反省的に、明るい照明のもとに連結するものではない。むしろ、身体は、意識が成立する以前、物体が対象化される以前に、つまり「私」「あなた」「それ」という人称が成立する以前に存在するものであり、意識と物体が発生してくる初源の根拠のようなものである。このいまだ統御されていない身体は、それゆえ、反省などによる規定を逃れて、様々なものに変幻自在に形を変えて流動していき、思わぬところで特定の形に凝固したりする。
引用部の「お前」とは「私」のことであり、分散された中心のことで
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