岩尾忍詩集『箱』小論/葉leaf
 
するように、環境と自らを照らし合わせながら運動するのである。
 作品もまた身体に似ている。それぞれのパーツの相互の連携と含み合い・意味づけ合いによって全体をつくっていく。そして、その全体をつくるときに、統御されたものとしての典型的なものは論理であろう。引用部では、岩尾は「三階の上に四階がある」というような論理を繰り返している。論理こそは、「統御された作品」の典型的な道具立てであろう。「六階の上にまた三階があった」という部分は論理の破綻であるが、この論理の破綻は、「六階の上には七階がある」という正常な論理を誰もが認識しているからこそ成立するのである。つまり、論理の破綻は論理を前提とするわけであって
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