岩尾忍詩集『箱』小論/葉leaf
の上に五階があり
五階の上に六階があり
六階の上に
また三階があった
三階の上に四階が
四階の上に五階が
五階の上に六階があった
(「階段」)
われわれは身体を多くの場合自動的に動かしている。そのときにも当然統御の働きは働いているであろう。だが、統御が顕著に働く場合がある。例えば人ごみの中を歩くとき。向かいから歩いて来る人間から意識的に身をそらしたり、他人をじろじろ見ないように意識的に視線を伏せたり。そのように意識的に身体を統御するとき、それでも身体の各パーツは、意識が志向する運動に向けて相互に連携しあい、相互に照らし合い、含み合い、また、環境にうまく適合する
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