岩尾忍詩集『箱』小論/葉leaf
 
無意識の選択であり、もう一つは、その思い付かれた詩行を自己の感受性と照らし合わせて許容できるかどうか判断する意識的な選択である。
 さて、私は今「自己の感受性」などという言葉を安易に使ってしまった。だが、「自己の感受性」とは何だろうか。それは一種の様式ではないだろうか。それは、複雑な起伏に富んで、典型的なものから常に様々な方向へとずれていく、そういう差異の複合体ではないだろうか。そして、その個性的な差異の複合体が自己のものとして統御されているのだから、「自己の感受性」とは、自己の身体と非常に良く似ている。なぜなら、身体というものも典型的なものからの個体差が複合して出来上がった一つの様式であるから
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