はるかなひかり/水町綜助
噛んで
飲んだ
聖杯はひとつ
パンはひとつで
すべてはひとつになるという
弔辞でひとりの女性が
なぜあなたに
神はこんな病を与えたのだろうか
と問い
神はこの病を
あなたにもたらし
その死をもって
神の栄光を明らかにする
と続けた
俺にはその言葉の意味がまったくわからない
ただ、教会の窓から射し込む白い日射しと
それをもたらす
糸杉の輪郭を精密に黒く切り抜いた
白い空をぼんやりと見ていた
そして光のもとに
否応なくさらされる俺たちの日々と感情のこと
それと肌のおうとつ
目を凝らすと見える
その肌理ひとつひとつと
隔てる溝
そして肌の皮脂
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)