はるかなひかり/水町綜助
 



君のこと見るときは光に飛ばす





標高1300メートルの病院で人が死んだ
俺じゃない誰かの
とても大切な人だった
ちょうどそんな陽射し
冬の
明るすぎる白い光が
高原に降り注いで
糸杉の幹から何本も伸びては
折り重なる枝を透かして
オレンジの瓦葺きの古い日本家屋の教会に
その窓辺に射し込まれた

葬送は密やかに
司祭は聖杯とパンを手に
ブドウ酒を血として
パンのひと欠けを肉として

あなたのために
主、イエスキリストが
流した、血

そうささやいては
参列者はブドウ酒をひと口ずつ飲み
パンの白い
ひとかけらを
よく噛ん
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