はるかなひかり/水町綜助
もなく
綿毛のように
柔らかく暖かな
もちろんそんなものでもない
残酷さというものが、床にひとつ
生きることの中に
横糸のように
織り込まれる
諦めることが
綾をなして
すこし赤みのある彩色の
布を織り上げて
諦めはやさしく
見せかけて
ただ白い
この太陽が射し込む
日々の降り立つ
地面に
俺たちが立ち上がらされた
地面に
俺たちのおうとつが
ここに明らかにあることを
光はあらわにして
かなしさの細部を
たとえば継ぎ目を
たとえば果肉を
その艶と繊維を
目の当たりに
焼き付ける
こんなときばかり
眩しさは
なくて
*
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