BORN TO LOSE/ホロウ・シカエルボク
にか自分の声がかすれていることにすら気付かない、いつのまにか、だ、欠陥は、欠落は、そうさ、そんな風に誰にも気付かれることなくいつの間にか訪れる、延滞された光熱費の支払い請求のようにそっと差し込まれるのさ、そして俺はかすれた声でなにかを呟くんだ、自分自身にすらはっきりとは聞こえない何事かを
半地下のバスルームではいろいろなものが死滅している、出て行けなくなった蛾、ゴキブリ、ナメクジ…俺はそいつらを弔うことなくすべて排水溝に流してしまう、同じだ、報われない死などいくら祈ったところで意味が変化するわけじゃない、報われないのなら意味なんかない、幾つかの本能だけで人生を謳歌する生き物とは違うのだ
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