十二月の童話/salco
の方がいいと強く思い
二度と陸には近寄るまいと心に誓うのですが
暗く静かな海底で行き過ぎる魚を眺めたり
空と波しか見えぬ海面を往復しているばかりでは
じき退屈してしまいます。
ですから
人間が出歩かない真夜中
半魚人は岩場に上がって空を眺めるのでした。
あそこは、この空っぽと繋がっているのだろうか
すると頂なのか底なのか
それともひとつの大きな海なのか
時が来ると干上がって、ひとつの大きな陸になり
明るい浅瀬を白い波がゆっくりと洗う
だから陸上魚達も、その間に多くが活動するのか
暗い波が寄せ来ると、海に戻って水飛沫をこぼす
そんな海なのか
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