十二月の童話/salco
いつも水深五十メートルほどまでの所を漂い
眠る時も
鮫の食欲や船のスクリューに注意を怠れません。
もちろん
二足歩行もできるのですが
陸へ上がれば鱗が乾いてしまい、体表が脆くなります。
また
浮力のない世界では自分の体がとても重く
大気圧も非情ですから、膝や足がとても痛むのです。
ただ
水圧のないぶん前進は楽でもあり
海中と違って明るく
鮮やかな色彩の溢れる景色を眺めて散歩するひと時は
体の負担を補って余りある楽しみでもありました。
しかし
人間に見つかってしまうと大声を出され
石などぶつけられるので、心がいたく傷つきます。
そんな時は
やっぱり海の方
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