はじめに謝っちゃおう!/花形新次
物心ついてから
俺は異常だ
怪物だ
生まれてきたことが間違いだったんだと
現実と現実の狭間で
ことあるごとに思い知らされてきた男は
この世から消えてなくなるべきだという想念にとって
最高の囚人だ
そんなとき
男の前に
思いもよらない大クライシスが訪れる
そして、このクライシスが齎す混沌こそが
怪物である俺の絶好の棲家だと確信する
朝が反転して闇となる
おぼろげな外観が寧ろ真実に近いと思われる世界
善と悪が単純なチャート式から解放された世界
俺はここでなら生きていける
消えてなくなったのはこの世の方で
この世から無用とされた、この俺が生き続けるのだ
生き続け
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