田村隆一論??フィクションの危険/葉leaf
性を失墜させているだろうか。答えはイエスでもノーでもない。田村の詩は2.1.で挙げたどの類型にも典型的に属さないが、逆に言えば、どの類型にでもなりうるのである。だから、真実でもないことを真実であるかのように語りそれを読者が真実だと信じてしまう、という詩の信用性を失墜させるような事態も生じうるし、真実であることを真実であるかのように語りそれを読者も真実だと信じるという、まさに語りたいことが読者にそのまま伝わるという理想的なコミュニケーションも生じうる。だから、田村の詩は詩の信用性を失墜させているとも失墜させていないとも言えない。
そもそも、詩の信用性を重視する態度に問題はなかったか。つまり、その
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