田村隆一論??フィクションの危険/葉leaf
 
他方でそれを自分なりに解釈して、例えば田村はここで詩人は現実から遊離しているとノンフィクション的に主張しているのだ、と落ち着くことも可能である。つまり、引用部はごっこ遊び的にもフィクションでもノンフィクションでもないのである。
 以上から言えることは、田村の詩は、2.1.で挙げた八つの類型のうち、どの類型にも典型的には該当しないということだ。田村の詩は、意味論的次元でも、言語行為的次元でも、ごっこ遊び的次元でも、フィクション性とノンフィクション性を併せ持ち、むしろフィクションともノンフィクションとも決定されないところにその特色がある。

3.結論

 さて、では、田村の詩は、詩の信用性を
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