田村隆一論??フィクションの危険/葉leaf
 
フィクションを単純に決定することはできない。
 さらに、2.1.で見たとおり、フィクションの構造というものは三層構造をなしており、ある一つの詩行についても、それを単純にフィクション/ノンフィクションという一次元の二項対立では語れない。ある一つの詩行について語れるのは、それが、意味論的にはフィクションであり、語用論的にはノンフィクションであり、ごっこ遊び的にはフィクションである、などという三次元的なフィクション認識であり、一次元の二項対立で把握することはできない。

詩を書く人は
いつも宙に浮いている
どこにいったいそんな浮力があるのか
だれにも分らない
       (「詩を書く人は
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