田村隆一論??フィクションの危険/葉leaf
じられなくてもいいと思っているから実際に信じられなくてもかまわないだろうが、読者はせっかくの真実を見逃すことになる。しかも、読者が語りをフィクションだとみなすきっかけとして詩人の語り方というのも重要なファクターだから、詩人はフィクション的な語り方をすることで読者にその語りをフィクションだと思わせ、結局せっかくの実感を伝えられないことになる。
(5)意味論的フィクション―言語行為的ノンフィクション―ごっこ遊び的ノンフィクション
この場合、詩人は特に真実でもないことをあたかも真実であるかのように語り、それを読者も真実だと信じてしまう。この場合、まさに詩人は読者を騙そうとして騙しおおせているのであ
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