長い詩を読んでいる/竜門勇気
 
八月半ば 空気は舌がしびれるほど甘い
ページを捲ることを諦めた詩集を捨てる
ただ長くて行ったりきたりするそれだけの詩集だ
誰もが一度口には運ぶけど
飲み込むものはいない

眠るようなものなのか
死ぬのは眠るようなものなのか
僕の世界はどこへいく
変わるな成長するな全ては終わるための準備


春は終わりを告げていた
ただそれを認めるのが怖くて笑った
春を憎んでいれば夏を愛せたかも知れない
恋文ってヤツを書けなくて詩を作った
作って作ってその側から幾つも捨てた
その数五万と六千四百三十
たった八年の出来事だ
君を好きにならなかったら
他のすべてをまだ好きで
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