ロマネスクの果て/済谷川蛍
 
解いたのは、文芸仲間があっけなく死んだ影響もあった。ガンよりももっと直接的な死因がありそうだ、という理屈だった。
 「僕は、あと何年生きられる」
 フゥーとため息とともに煙を噴き出す。
 「あと、数年。世間から煙たがれようと、苦笑いしながら自分勝手に生きていく」
 短くなった煙草を灰皿に擦りつけた。灰皿の火の粉が全て消えるのを確認し、眠りについた。

 *

 頭の上で、カエルがゲコゲコ鳴いている。カエルは勢いよくバネを伸ばして前方へ跳んだ。辺り一面、底知れない暗い水たまりが無限に広がっている。ぽちゃん、とカエルが水中へもぐった。僕は頭がボーっとしていた。しばらくして、カエルがもぐ
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