ロマネスクの果て/済谷川蛍
いい大学内のネットカフェで過ごした。
「僕はね、もういつおさらばしてもいいんだよ」
僕は缶コーヒーを飲みながら呟いた。相手はすっかり仲が良くなった野村くんだ。しかし僕は若い学生たちにいつも引っ張りだこの野村くんと過ごす時間はほとんどなかった。自己紹介のときの劇的なエピソードは何だったのかと思えるくらい、僕と野村くんとの距離は離れ離れになっていた。
「そーゆーのってかっこわるいのでは?」
野村くんは野菜ジュースのストローから口を離した。
「ハッ、かっこわるいよ。でも…」
僕はあまり演技っぽくならないように嘆息した。
「しかたない…」
野村くんは表情を変えず黙
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