ロマネスクの果て/済谷川蛍
を吹かす。若い男と女のグループがはしゃぎ声を響かせながら通り過ぎていく。クリスマス目前で、もうすぐ年も暮れようとしていた。人々の成長や恋の話はいつも空しく聞こえた。
「人々は選び取っている。そして、私は選び取られない」
タバコを揉み消して周囲に目をやると手相の占い師がいた。財布を確かめると千円札に余裕があったので見てもらうことにした。生年月日を書くと、占い師の男性は事務的に僕を占った。胃腸が弱い、80歳まで生きる、他人に尽くすタイプだが見返りはないので期待しないほうがいい、家庭的、引っ張ってくれる女性が良いなどと言われた。そして人相もわかるようで、おでこを出したほうが良いと。他に何か聞きた
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