ロマネスクの果て/済谷川蛍
 
んと仲良く出来るはずだと僕は思った。しかし見つからない…。缶チューハイを飲みながら他愛のない詩を書く。

 君が裸身に巻いた黒いドレスで僕の一日を閉めくくろう。
 透けるような白い素肌を通り抜け、僕は懐かしい朝を迎える。
 君は僕が手で触れることのできるこの世で唯一の真実なのだ。

 別に誰を思って書いたわけではないが、さすがにそれは言い過ぎだろと自嘲した。頭がグラつき、自分は今どれぐらい酔っているのだろうかと考えた。僕は酒を飲んで人格が変わるほど酔っ払ったことがなかった。酒を飲み続ければ、自分以外の何かになれるだろうかと憧れたりすることもある。突拍子もなく、野村くんは自分のことを気に
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