無題/葉leaf
の崖の上で、微細な波が寄せては返すのを、教授はその力学に思いをはせながら、愛人はその光彩に思いをはせながら、学生はその下の深淵に思いをはせながら、/海に向かって修辞を投げてみようじゃないか。海が滝や湯気や川や氷や宇宙に変換される、その変換の速度を記述しようじゃないか。/僕は海に苛立つんです。まず大きさに嫉妬する。冷たさが怖くて腹が立つ。そして、何でいつまでも存在し続けるんだ。海よ、死ね!/遠くの空のふもとに固着されたかのような小さな船たちの抒情が、学生の眼鏡には降り積もっていた。/美佐ちゃん、昨日と今日と、一年前と、すべてが何でこんなに膨らんでいるんだろう。君と会ってから、私は一つの公理に追い抜か
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