無題/葉leaf
抜かれた気がしている。/先生でも振り向くことがあるんですね。私はいつも先生の背中ばかり見ていた気がしていますよ。その背中にいくつもの地図を刺繍しました。悲しみとか絶望とかありとあらゆるものを。/先生と美佐さんは一つの行動だったと僕は思っています。いつも動き続けていて、僕みたいな静止してしまっている人間からすると、台風のようにかっこよかった。/三人とも海底に身を沈めたかった。教授はその意志の発狂ゆえに、愛人はその言葉の失踪ゆえに、学生はその存在の浅さゆえに。
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