無題/葉leaf
柔らかい。人生なんて星明かりの残滓のような淡いものなんです。だがやけに鉄分を含んでいる。僕の中では砂利と化す鉄分です。/学生は愛人が自分にも好意を寄せていることを知っていた。だが学生から愛人へと向かう小道にはいくつもの放置自動車やがれきや廃墟や丘が据え付けられていた。学生には愛される資格もなければ適格もなかった。
三人は海へと向かった。海と言ってもむしろ講堂だった。むしろ市街地だった。むしろ衛星だった。むしろ山林だった。それらの存在が織りなす液体の集積、それが海だった。/潮風の匂いの中には、いくつもの輝き続ける死が整列しているようで、私は子供の頃の記憶に誘拐されてしまうわ。/コンクリートの崖
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