無題/葉leaf
だけではなくて、名前のない感情をいくつも貴方に抱いているわ。/愛人は少し汚れた窓のそばにそっと立って、そして船は? 貿易は? 風は?/教授は試験の採点に様々な定理との確執を詰め込んだ。答案用紙の罫線の上を滑る血の粒子たちの嗚咽、衝突。/私はねえ、生まれたときから革命を繰り返してきたのだよ。歩くという革命、しゃべるという革命、その他。え? それは滅亡だって? 君はなかなか優秀だ。/教授は短く刈り込んだ清潔な髪形をしていて、学生はそれと競うようにだらしなく長髪を鍛え続けた。/そして、やはり、海は? 海流は? 海溝は? 疑問のとばりは濃く三人を彩った。/僕が思うには、人生なんて一個のリンゴの実よりも柔ら
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