谷川雁論??自己愛と自由/葉leaf
を規定しているもの、そういうものとしてとらえることである。いずれにせよ、「母」を神秘化し、「母」をあらゆる行動の原点と据えることは、同時に「母」と合一化している自己の価値をも高めることを意味する。谷川は「原点」を称揚することで、同時にその原点に根ざしている自己の価値をも高めた、そう解することも可能だ。それは、谷川が自己を安定した高みに置きそれを維持することであった、そう解することも可能だ。
1.2.煽動
あさはこわれやすいがらすだから
東京へゆくな ふるさとを創れ
(「東京へゆくな」)
さて、この詩行を読んでみよう。ここには谷川の詩業が凝縮されているかのようだ。
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