谷川雁論??自己愛と自由/葉leaf
者による支配という神秘的な態度に安住していたのではない。そのような神秘的な位相は「ゆらゆら」していたのだ。つまり、谷川自身、その神秘主義がいつ崩れるかわからない危ういものとして認識していた。それは谷川が無意識に他者のまなざしを感じていたからではないか。「世界」の側の、無数の他者が存在する側の、谷川を規定しようとする、その重みと、かろうじて釣り合っていたのが彼の詩作ではないのか。そして、谷川はついに世界の側に屈するのである。つまり、詩と世界を天秤にかけたとき、世界の方が重くなってしまった。そこで、詩=「瞬間の王」は死んだと宣言したのである。
ところで、谷川においては、詩を殺したのはまさに詩そのも
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