谷川雁論??自己愛と自由/葉leaf
 
天秤にかけられてゆらゆらする可能性を前提にするわけにはいかなくなっているのである。
      (『鮎川信夫全詩集』への書評)

 谷川にとって詩とは世界とその重みを等しくするだけの「瞬間の王」であった。それは谷川にとっては所与であり強制であった。つまり、谷川は生まれながらにして「瞬間の王」に支配されると同時に、「瞬間の王」として世界を支配しようとする、そういう気質にあった。これは「原点」の思想とも似ていて、何らかの絶対者を措定し、というか、何らかの絶対者があらかじめあり、それに谷川が支配されると同時に、谷川はそれを他者と共有しようとする、そういう図式がある。だが、谷川は、そのような絶対者に
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