谷川雁論??自己愛と自由/葉leaf
 
上で労働運動を展開していったのだ。

 私のなかにあった「瞬間の王」は死んだ。ある機能がそれだけで人間の最高の位であるという思想とたたかうことは、私の知ったはじめての階級闘争であった。(中略)自己の内なる敵としての詩を殺そうとする努力が、人々のいわゆる「詩」の形をとらざるをえないのは、苦がい当然であるとはいえ、私はそれを選んだのでもなければ望んだのでもなかった。眼のまえの蜘蛛の巣のように、それは単純な強制であった。
     (「国文社版『谷川雁詩集』あとがき」)

しかし、それはついに詩ではない。詩それ自身ではない。そこには一つの態度の放棄がある。つまり、この世界と数行のことばとが天秤
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