谷川雁論??自己愛と自由/葉leaf
 
けにはいかない。
      (「民主集中制の対局を」)

 こうして谷川は多数決を否定する。やりたくない奴はやらないことが義務である。多数決とは、多数派が少数派を少数派の意に反して規定するということである。つまり、そこには多数派と少数派の相克がなく、少数派の自由や主体性は圧殺される。谷川は、あくまで個人の主体性・自由を尊重し、それを組織原理とした。そしてこれは「深い根源」からの組織原理であった。この点を見てみても、谷川が自己を神秘化しそれに他者を従わせるという安易な図式は成立していなかったことが分かる。個人の自由は「原点」に由来するような根源的なものであった。谷川はそれを最大限尊重した上で
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