谷川雁論??自己愛と自由/葉leaf
詩人の「価値ある自己」という自己規定に由来しないだろうか。価値ある自己の携わっていることなのだから、詩には当然に価値がある。
つまり、詩人が、詩を知らない友人に詩を紹介するというありふれた風景の中には、(1)詩人が自己を価値あるものとして規定すること、(2)詩人が友人を詩を愛する者として規定しようとすること、この二つの規定の働きが含まれていないだろうか。
さて、ここで当然ながら反論がなされるだろう。いやいや、私は自分をそんなに価値のある人間だなんて思っていない。私の価値なんてそもそも私の行為や他者の価値づけによって決定されるのであって、私自身が私を自己愛や神秘化によって価値づけているのでは
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