谷川雁論??自己愛と自由/葉leaf
認しなかったのではないか、そういう批判が可能である。なぜなら、サルトルは、人間が自らを自由に決定していくことにヒューマニズムを見出したのであり、サルトルの立場からすると、自己の自由をも他者の自由をも閉塞させるような谷川のやり口はアンチ・ヒューマニズムということになるからである。
3.谷川雁のヒューマニズム
おれは大地の商人になろう
きのこを売ろう あくまでにがい茶を
色のひとつ足らぬ虹を
夕暮にむずがゆくなる草を
わびしいたてがみを ひずめの青を
蜘蛛の巣を そいつらみんなで
狂った麦を買おう
古びておおきな共和国をひとつ
それがおれの不幸の全部なら
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