谷川雁論??自己愛と自由/葉leaf
 
原点」と合一し自らを神秘化したと解するなら、そのような態度は、自らを即物化し、自らを完全な存在と化すことであり、それは、自由を失い自由を隠蔽する自己欺瞞である、と批判できる。谷川が美しい詩を書いてそれによって自らを飾ろうとすることも、自らを高い存在として即物化する自己欺瞞ということになる。また、谷川が自らの思想に他人を巻き込んでいったのは、他者を自らのまなざしのもとに所有することであるが、それは他者のまなざしの逆襲によっていつでも覆されるし、その他者の逆襲を十分内面化せず自らを支配者として規定していた谷川には落ち度がある、という批判が可能であろう。つまり、谷川は自由でなかったし、他者の自由も承認し
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