殿岡秀秋小論/葉leaf
いて述べる。
1.時間と苦悩
過去のあることと、現在の苦悩とが瞑想の中で、出会う。追憶と現在の苦悩の響き合いが、今回の詩集を貫くテーマになっている。
(「あとがき」)
殿岡の詩が現在と過去との出会いで成立していることは分かりやすい。だが現在とは何か、過去とは何か、それらが出会うということはどういうことか。そして、殿岡ははたしてそれほど「苦悩」しているのだろうか。彼の「苦悩」という言葉に込められた思いは、単純な「苦しみ悩むこと」以上のもっと豊饒なものなのではないか。
頬の痛みはすぐに消えても
胸のうずきはいつまでも
渦潮の渦は消えても
潮の満ち干でよみ
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