冬/ホロウ・シカエルボク
 
い日なのだ、今日は。疑問が存在してはならない、そういう日。君はあまりにもタイミングの悪い展開を自ら引きよせてしまった。そしてもっとも重要な問題は、それが、君だけのことではないというところにある。川面に巨大なジェリービーンズみたいな奇妙な反射がある。最近オープンしたカフェが店頭でピーター・トッシュを流している。


タクシーが一台、俺たちのすぐ近くで身なりのいい老婆を拾う。きっとこのあたりの古い住宅街に住む人間なのだろう。膝になにかしら故障を抱えている感じがした。なんらかの治療をしに行くのかもしれない。救急車をタクシー代わりに使う年寄りが増えているってなにかで読んだっけな。君は頭の中にあるも
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