冬/ホロウ・シカエルボク
わからない、と君は言う、雨の後、増水した川の性急な流れをじっと見つめながら。俺は、なかなか火がつかないライターにイライラしながら煙草に火をつける。11月最後の日曜日、街はくだらないイベントでそこそこ盛り上がっている。空は曇り。時々微調整をしているみたいに数えられるくらいの雨粒を頬に感じる。
わからない、と君はもう一度言う。自転車に乗った女学生がふたり、歩道いっぱいに広がって走りながら君の脇をかすめてゆく。君は彼女らを少しだけ気にする。イラついているみたいに眉毛が少し歪む。
時間は正午を少し過ぎたところで、気分はどうしようもなく気だるかった。疑問、があってはならない日
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