蛇音/よーすけ
少年も、何もかも意味がないと思った。蛇のような高速が開通すれば隣の県を気軽に行き来出来るようになり、この街にももっと人が増える。
「なあ、おれらどないしたらええっていうねん?」少年は半ば八つ当たりのように声を荒げ栗須に詰め寄った。どうにも出来るはずないだろ、という言葉が喉まで出かかったが、栗須は言うまいとして乾いた唾と共に飲み込んだ。少年がいま自分に向けている敵意も、この街を守りたいという思いも、何もかもが急に単調な色に褪せてしまったような気がした。たとえ少年をこの場で殴ったとしても、逆に少年が自分を殴っても何も変わらない、と思った。
「高速出来たら便利になるなあ」そこに少年などいないかのよう
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