蛇音/よーすけ
 
学年や年下の生徒を問答無用で殴り、追い出すという活動を始めた。その習慣は今も続いている。
 栗須は自分の拳を見た。だいたいは瑞嶋が一方的に相手を痛めつけ、栗須は逃げようとする奴らを食い止め、後ろから羽交い絞めにするという役が多いが、相手が好戦的で何らかの反撃があれば彼も加勢した。ただ栗須は人を殴るという行為が好きではなかった。
二週間前、瑞嶋はゲームセンターでようやく小学校を出たあたりという幼さを存分に残した少年二人を見つけ、いつもの手筈で突然殴りかかり、痛めつけた。栗須は見慣れた光景に目を背けながらそのまま何の波乱もなく「パトロール」が終わるだろうと思っていた。そこに瑞嶋が下卑た笑顔を浮かべ
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