蛇音/よーすけ
 
奴がやるならともかく、お前らは山に住んでるんだ。お前らは街に来るんじゃねえ」言い終わらぬうちに少年は麻袋を置いて栗須に殴りかかっていった。怒りと悔しさで表情を崩し、ろくに人を殴った事もないような構えだった。
栗須はいとも簡単に少年を後ろ手に組み伏せた。彼の体格が小学生の中では平均よりも大きいこともあったがそれ以上に少年は幼児のように貧弱で、手足をばたつかせて抵抗しても力というものを一切感じなかった。改めて見ると手足も握ったら折れそうなほど細い。
「離せ!」と少年は凌辱されるとでも言うように泣いた。栗須は何で自分がこんな事をしているのか分からなくなり「もう殴りかかって来ないか」といたわるように訊
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